干物の焼き     


干物は普通の生魚(秋刀魚、鮭)なんかを焼く要領でいいんですが

それすらも焼いた事がない!なんて言う方の為にいちおう書いておきます。

基本は強火の遠火と言いますが、

炭火もしくはプロ用のガス焼き器なんて家庭にはないですよね。

普通は家庭用のガスコンロでしょうか?

このガスコンロもコンロ内が冷えている状態とコンロ内が熱くなっている状態とでは焼く時間が違ってきますのでご注意。

最初は強火でコンロ内を暖めましょう。(もちろん魚を入れて着火してもいいですよ)

焼き加減は海の魚の場合「表7割、裏3割」と言われますが、

別に法律で決まっているわけではないのでご自由に、

用は火が適度に通っていればいいんです。

「生でなく、火が通り過ぎないように」、この加減が唯一難しいところですね。

お客さん方がよく言われるのが「焼きすぎてしまう」と言う事ですが

少々大きい干物(ノルウエーサバのみりん干や大きい丸干)は

コンロ内が温まったら弱火にしないと、表面だけ焦げてしまいます。

で中心部は生なので焼くのは難しいとなるわけです。

最近はだしもパックだし、レトルト食品や冷凍食品に皆慣れてるので料理は簡単じゃないとダメなんでしょうが、

日本料理では焼く、蒸す、揚げると言う工程は非常に重要です。

揚げ物にしても、素材を冷やしたり、良い油を使う事よりも、油の温度、油から揚げる頃合が大事でしょ。

まあ料理は作る人の腕次第ですが、

この干物というのは最初から味付けがしてありますので

後は上手く焼いてもらえればと、、、

とにかく、コンロに入れて火を着けてしばらくしたら焼ける簡単な料理という概念は捨ててね。

でも決して難しいもんじゃないのよ。

慣れれば簡単。

それでは究極のおいしい焼き方!

まず、第一に

おいしく焼こう。と思ってください。

気持ちは大事です。この気持ちがないと上手く焼けません。

食べる人が(自分でもいいんです)食べた時に

「あー!これおいしい!」

と言ってくれる事を想像しましょう。

食べる人の喜ぶ顔を想像すると、自分も楽しくなりますね。

第二に

魚の声を聞きましょう。

焼いているところをじっと見て、音を聞きましょう。

「プツプツプツ、ジュージュージュー」

こんがりと焼き目がつき、魚が「もうたまらん」と言う具合に

反りあがったり、動いたり、脂を落としたり、

いろんな表情を見せますね。

ここで慌てずに、

しばらく様子をみて、ひっくり返したり、弱火にしたりして、

じっくりと焼き上げましょう。

加減がよくわからなければ、

お魚さんに「もういいかい」と聞いてみましょう。

余計な事を考えずに、心静かに聞いてみれば、

必ず「もういいよ」と返事が帰ってきます。

調理中はとにかく雑念を消しましょう。ほんの5〜6分です。

第三に

できるだけ解凍して焼きましょう。

冷凍の状態で焼いてもいいのですが(小さいものや薄いものなら簡単に焼けます)

大きいものは生焼けになります。



以上の3点に気をつけていただければ、おいしく焼けます。

料理はとにかく気持ちが一番です。

嫌な事を考えたり、他の事に気を取られながらの調理は決しておいしく仕上がりません。

もし失敗しても、次は必ずおいしく出来ます。

失敗は貴重な経験です。おそれずにどんどんチャレンジしましょう。

食事は生活の中でもっとも手軽に幸福感を味わえるものです。

作る、食べるをもっと楽しみましょう。

えー最後に裏技をひとつ、ちょっと古くなったあじの開きなんかには表面にお酒を塗って焼くと生臭みが消えて香ばしく焼きあがります。お試しあれ!

天日干って?



「うちの魚は天日干だから美味いよー!」

なあんて最近はよく聞きますね。

同業者のHPなんか覗いてみると、ほんとそんなとこ多いですね。

しかし、みなさん良く考えてみてください。

日本には四季があります。

あのうだるような夏の暑さ!

凍りつくような冬の寒さ!

夏は外気温が30度近くなり、冬は0度になり、

曇りの日もあれば、雨の日も、、、

それとも

理想的な環境の日だけ仕事するんでしょうか?

確かにうちも昔はそうでした。

「今日は雨だから仕事休み!」

なんてことしょっちゅう(笑)

梅雨時期は干物はありません。なんて(笑)

それでも生活できてたんだから(笑)

まあ昔はそれでよかったんだけど、(魚はいつも獲れていたからね)

味的にも食えりゃよかった時代もあったし、、、

今でも100%天日干です。なんて業者さんもいるけど、、、?

まあお客さんが納得してれば、私がとやかく言うことじゃないわね。



ちょっと前置きが長くなりました(笑)

さあ!ここからが本題

これは私なりの分析。異論があったらぜひ教えてください。

天日干は確かに魚のアミノ酸(うまみ成分)を活性化させると思う。

しかしそれは、数ある太陽光線の中の赤外線によるものと思う。

逆に紫外線は魚の栄養ある脂分を腐食させ、逆に毒素となる働きがある。

ゆえに、紫外線の強い夏場は天日干は不向きである。

また、20数年前と比べて冬場でも紫外線の量は格段に増えていると思われるので、風のない日は冬場でも天日干は不向きである。

赤外線とともに大事なのは風です。

風がなければ、魚の水分は蒸発するのを待つばかり、

洗濯物でもそうでしょう?風が吹くと早く乾きます。

早く乾くと、うまみ成分が魚にぎゅっと閉じ込められ、つやよく仕上がります。

つまり

1.豊かな赤外線。

2.風

3.低温

4.乾燥注意報

この4つが天日干には重要です。

季節で言えばここ宮崎では2〜3月が一番いい時期です。

私、夏の暑い日に干物を天日干にしている業者さんを見ると、

この魚もう火が通っていて、焼かずとも食えるのでは?

なんて思ってしまいます(笑)

また、栄養的に言うと、天日干も、うちにある低温の冷風乾燥機も

あんまり変わらないそうです。

でも数値では測りきれない不思議な力も自然にはありますので、

環境の良い日にはやはり天日干します。

とうじんぼし



「とうじんぼし」って言うのはカリカリに干しあげたいわしの丸干の事で、戦後はよく作られたみたいです。

時期的には3月頃でしょうか、産卵が終わり脂の抜けた頃を見計らって生産されていたようです。

塩をたっぷりと効かせ、乾燥すると魚から塩の結晶が噴出してくるくらい!

ずいぶん辛いものだったようですが、当時は貴重なたんぱく源であり、保存性もよく、米の飯に良くあうおかずとして、引っ張りだこの商品だったようです。

その前の時期には、脂の乗った塩イワシとして、関東、関西、北九州などに貨車で(昔はトラックより貨車で輸送していました。蒸気機関車の時代ですね。)相当量出荷していたみたいですね。

で、よく聞かれるのが何で「とうじんぼし」って呼ばれていたのかってことです。

私の調べたところによりますと、、、

はるか江戸時代にまでさかのぼるのですが、門川町に庵川という地区があります。門川湾のちょうど私の所(尾末地区)と対面になりますが、そこに朝鮮バエという磯があるんですね、そこに中国からの移民がたどり着いたとか、(唐の時代だったのかも?)町史には記録はありません。

まあその頃の日本というのは、現在と違って(どこで間違えたんでしょうかねー)移民、もしくは亡命者もいたんでしょうが、手厚くもてなし、非常に親切だったようです。

と言うのも、当時は他国の情報も入らない鎖国状態であり、産業技術的にもはるかに日本は後進でした。また、種子島に代表される鉄砲も外国からのものですし、移民は当時とても大切な情報源であり、金を生む金の卵だったのでしょう。それを当時の藩ごとに大事にしていたと言うのは、単純に藩の発展の為だったのでしょう。

その当時南北に細長い宮崎県には数多くの藩が存在しましたが、多くの海岸線は高鍋藩の領地だったそうです。高鍋藩は宮崎の海岸線に3箇所程、見張り台を設置し、移民を見つけると手厚く保護していたそうです。

でまあ、そんな移民の方がたまたま門川の朝鮮バエ(当時は違う名前だったでしょうが)にたどり着いたんでしょうなあ。

当時のことはわかりませんが、この磯にはこんな神様が祭られています。

  


































日本各地にある除福伝説を思い起こさせる石像です。

南の細島に向かって鎮座しております。

 朝鮮バエより南を望む。

 手前の島が乙島。

 はるか向こうが細島。






                          





結論としては、中国が唐の時代にこの磯に中国からの移民が流れ着き、当時粗末な漁師小屋の並ぶ門川の民に、魚の乾燥技術を教えてくれたのが始まりと思われます。つまり、唐の人が教えた。とういことで、とうじんぼし(唐人干)と言う名前ではないでしょうか。

塩について                   


干物に使う塩といいますと、まあ日本で一般的に想像されますのが、沼津地方でよく使われている塩汁(しょっつる)でしょうね。

この塩汁というのは一定濃度の塩分を保ち、冷却、攪拌しながら同じ塩水を長く使用し、また、使い込むことによって魚のエキスが出て、その店独特の味が出る。と言うものですが、、、、

九州地方ではこの塩汁というのはあまり使われていませんので良くわかりませんが、くさやとは違うもののようです。くさや汁については前によく研究しましたが、確かにこの汁はすごい!これにはとてもかないません。しかし、私は食べれません(絶対ダメ!)

しかし、塩汁ってくさやほどの塩分もないし、温度的にも良質な乳酸菌が発生、生育するとも思えませんし、魚のエキスが〇℃位の塩水ににじみ出るんでしょうか?むしろ、よくよく洗って漬けないと汚れが出るだけのような気がするんですが、、、なんか昔流行った24時間風呂みたいで、、

しかし、食べてみんことにはその良さはわからんさ!と思いながら、もう何十件の干物を食べたことでしょう?デパートの1枚千円のアジの開きから、ネットの通販。でもいつも、こんな味も素っ気もない干物のどこが美味いんだろう?と首をかしげずにはいられません。どなたか本当においしいところがありましたら教えてください。あっでも清水の醤油干しは良かったですね。おいしかったし、勉強になりました。

ずいぶんいろいろ試しましたが塩って何回も使うと、その力というか波動と言うか、どうしても落ちてくるような気がします。それに開き物だけならまだわかりますが、丸干は使いまわした塩汁では余程少量でないと絶対出来ません。(開きは腸を取り洗って漬けるので、汁は比較的汚れないが、丸干しは腸の付いたまま漬けますし、いちいち洗っていては鮮度が低下し、焼いたときに腹が切れます。)

まあ、と言う訳で当店では毎日新しい塩を使っています。昔は並塩(化学塩)をどこの加工業者も良く使ってましたね。この塩は魚も脂分をとてもよく吸い込みますので、出来上がりの色艶はいいのですが、塩化ナトリウムが分解されないまま残ってしまうので、長期保存した干物は舌のひりひりする辛さがありましたね。その辛味を消すために味の素のような調味料がまたたっぷりと使われたりしまして、、、今でもそんな業者は多いですけど、、、

当店では2種類の岩塩を使用しています。ひとつはオーストラリア産の天然岩塩です。精製していないので粒が粗くなかなか水に溶けません。いつもひいひい言いながら溶かしてます。(笑)この塩の良いところは魚の芯まで塩が通るのに、ミネラルが豊富なのでひりひりした辛さが出ないこと、悪い点はミネラルが豊富すぎることで逆に乾燥があまり利かないこと、めざし等はぱりっと乾燥しないんですよ。もうひとつは中国産の岩塩。中国産といえば安いもんと言うイメージがありますが、これは値段は高いです(笑)かなり深い地層から掘り出していて、しっかり精製してあります。ミネラル分は余りありませんが、とても粒が小さく、カルシウム、カリウム等の他の塩にはない栄養成分が豊富に含まれています。私の知る限りこれ以上の塩は「奄美の雪塩」位しか思いあたりません。

当店では魚の鮮度や脂の乗り、また売値(笑)によってこの2種類の塩を使い分けております。