その4 兄ちゃんいっぺん死んでみるか?
大学生の頃、運転代行のアルバイトしてましてね、
ニッツー代行って名前でした。
僕らアルバイトの学生は車持込の人に割り振られるんですよ。
その日俺が組んだ人は
会社でも有名なおおぼけの人で
「いやだなあ」とは思ったんですけど
仕事ですから文句は言えません。
何事もなく12時を過ぎ、今日はアルバイト代は最低料金かと思われた
つぎの瞬間。
一目でやくざとわかる2人組みが乗り込んできました。
「あにき、きょうはごっそうさんでした」「おう」
「それにしても○○組の奴らは、、、」等々映画ではない本物です。
しかも超酔ってます。
(やべえよ、マジ、やべえよ。つつがなく送り届けなくては、、、)と俺は緊張していたが、、、。
「あはは、お宅さんらやくざね?」
一瞬、俺は凍りついたね。
「なんじゃこら!われ」
後ろからものすごい怒号が
それで俺の相棒もさすがにびびったらしく、ちょっと緊張したみたいだった。
しかし、つぎの一言
「黒木君この人たちには気をつけなさいよ」
誰か助けて!
「なにゆうとるんじゃこら」「ぶち殺したろか」
飲んでる上に、切れちゃったよ!
でもこのときは兄貴分の人が「○○、素人さんに手を出すんじゃねえ」「だまっとれ」
「へい、、、」
これで何とか収まったよ。
そして、いざお客さんの車に乗る時
普通はアルバイトが後ろからついて行く車に乗るのだが
先頭車両に兄貴から俺が指名され乗る羽目に、、、。
先頭は子分の人と俺、後続に兄貴分の人とボケの人と言う構成で出発!(兄貴ナイス判断!)
何事もなく桜ヶ丘にむかう車。
俺は子分の人に調子を合わせ「すいませんね〜、あの人会社でも有名なボケなんですよ」
なんていいながら、調子をとっていた。
しかし、この会社は鹿児島でも大手の代行社だったので、俺も無線を持たされていたのをすっかり忘れていた。
もうすぐ着くというところで、いきなり無線が、、、、。
「大丈夫ね。何もされちょらんね。」
「気をつけないよ。この人たちゃ何するかわからんよ。」
(嘘だろ、誰か嘘と言ってくれ〜)(心配してくれるのはありがたいが、状況を考えてくれー)
子分は低い声で「そこに止めろ」
人気のない草っ原だった。
車を止めるとおおぼけ君が「大丈夫だったね?」「エー2400円です。」と一人ではしゃいでいた。
(誰かこいつをこの地球上から今すぐ消してくれ〜)俺の心からの叫びだった。
子分がちょっと待て、と言って車のトランクを開け、テレビでしか見たことのない「ちゃか」を持ってきた。
「おまえたちゃ いっぺん死んで見るか?」
さっきとは違って、ドスの聞いた声で、、、、。
しかも何で銃口が俺の腹に、、、、。
兄貴は無言である。
しかも頼りの兄貴は向こう向いてるよ、、、。(見張りかよ)
ボケ夫くんはきょろきょろして何がなんだかわからん様子だ。
(頼むから騒がないでくれ〜)心からの叫び2
俺は苦肉の策で、
いきなり、ボケ夫の頭を思い切り殴った。
「こら、このボケ!おまえがテレテレしとるから、こんなことになったんじゃ!このばかが!あやまらんかー!」
と怒鳴り、ボケ夫の頭をわしづかみにして、平に平に頭を下げた。「すんませんでしたー」「すんませんでしたー」
すると、兄貴が「もうそのくらいにしとったれ」と神様のような言葉を、、、。
今がチャンスとばかりに俺は「お金は結構ですので」と逃げるようにボケ夫と車に乗り込み、ダッシュスタート!
(助かった〜)
(まじびびった)
(俺生きてるよ〜)
一人喜びに浸っていると、「君は気が小さいねー、ちゃあんとお金はとらんとダメじゃが」とボケ夫が皮肉交じりに怒る。
俺はもう何も言う気力はなかった。
(もういいよ、もういいんだよボケ夫。後はなんとでもボケてくれ。)
それからその車にはもう2度と乗ることはなかったよ。
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